男は逮捕されてから、250日が過ぎようとしている。
詐欺を繰り返す“日常”が一変したのは今年2月27日のこと。日課の朝のコーヒーを飲もうとしたとき、玄関のベルが鳴った。警視庁の捜査員だった。
「逮捕状が出ています」
共犯者の供述で、男の関与が浮かび上がったのだった。
「『あいつ、最近いないな』と思ったら逮捕されていて、私の名前を話していたんだ。私は本名を使っていたから、簡単に分かってしまった」
詐欺罪での起訴はほぼ終わり、公判が始まっている。
「私が司法の場で裁きを受けるのは当然。私を失った妻や娘は社会的な制裁を受けた」
それでも男は口を開いた。報道機関にきれいごとを言って裁判所の心証を良くしようとしているのか、改心の一環なのか、真意は分からないが、「被害を抑止することが願いで、究極の目標はすべての詐欺被害の撲滅」と強調する。
「私は被害者の方に申し上げたいことがある」
前置きし、語った。
「だます側も幼稚な手口だが、だまされる側も大人の姿をした幼稚ないじめられっ子だ。普通の社会人ならとても引っかからないような言葉でだまされるわけだから、被害者にも責任はある。この現実から逃げていたら被害の撲滅などありえない。幼稚なトークにだまされてはいけない。自分のお金は自分で守らなくてはいけないと思う」
だます側がいて初めてだまされる人が生まれる。数々の男の言葉は被害者にとって身勝手な言い分だが、拘置施設で「1番」と呼ばれる男は、それが被害者への「冒涜(ぼうとく)」だと認識している。
振り込め詐欺に関するニュース記事のまとめ。
2008年12月5日金曜日
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