「やはりお金ということでしょうか」
男が振り込め詐欺犯になった理由は金だった。
男は昭和60年代のバブル期以降、不動産業を営んでいたが、会社をたたみ、平成18年に芸能事務所を立ち上げようとしていた。
設立資金がほしかった時期に声をかけてきたのが「知り合いの男」だった。
「共犯に関することは公判中なので詳しく述べることは差し控えたい」
男はこの人物について多くを語らないが、地下社会に精通した者だったという。
「私はそれまで逮捕歴もなければ、世間に後ろめたいことをしたこともなかった。話を持ちかけられたとき、冷静な判断ができなかったのだろう」
「知り合いの男」の誘いは振り込め詐欺のリーダーになることだった。
話に乗った。
「すでに運営が始まっているグループを引き受けた。いわば“振り込め会社”を引き継いだようなもの。グループの運営費はダイレクトメール費などで月600万円かかった」
男の役割は収益金管理。ダイレクトメールを発送する役、電話を受けるだまし役ら共犯者を“新規募集”する際には「手配師」と呼ばれる人物に依頼した。
「手配師は警察が言う道具屋のひとつで、振り込め詐欺の“人材”を提供する業者。そうした業者の紹介は知り合いの男から受けた」
男はその後、複数のグループを“買収”して傘下に収め、手広く振り込め詐欺を展開するようになった。
「一般論で言うと、融資保証金詐欺の一つの“店舗”の純利益は月2000万~3000万円。私はそれほど稼いでなかったが、若者たちにはきちんと分配していた。いいリーダーだったと思うよ」
振り込め詐欺に関するニュース記事のまとめ。
2008年12月1日月曜日
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