振り込め詐欺に関するニュース記事のまとめ。

2008年11月2日日曜日

振り込め詐欺、機器調達に「道具屋」介在

2008年10月28日

 IP(インターネット・プロトコル)電話を悪用した振り込め詐欺事件で、県警に逮捕されたグループが、詐欺実行犯などに通帳などを提供する「道具屋」と呼ばれる男から、IP専用電話機を調達していたことが27日、捜査関係者の話でわかった。グループは道具屋に初期費用だけで約100万円を支払ったという。捜査本部は、グループが匿名で利用できる電話は発信元の特定が難しいことに着目して、高額の金を払ったとみている。同本部は28日にもグループのメンバーを再逮捕し、事件の全容解明を進める。

 捜査関係者によると、グループの中心人物だった原充博容疑者(30)らは今年8月、東京都大田区のマンションに拠点を移した後、IP電話を利用するようになった。その際、NTTとIP電話の利用を契約している仲介業者と、実際にやり取りをしたのは「道具屋」と呼ばれる男だった。

 原容疑者らは、この男に保証金として60万円を、専用電話機のレンタル料として7台分で35万円を支払っていた。これとは別に、月々に通話料などとして約100万円を支払っていたという。金の一部が仲介業者に渡っていたとみられる。原容疑者らは「この電話だと、警察にアジトが判明する心配が少なかった」と供述。捜査本部はグループがアジト発覚を逃れようと、高額の金を払ってIP電話を利用したとみている。

 男は、被害者に現金を振り込ませる通帳や、仲間同士でやり取りをするための携帯電話なども調達しており、捜査本部は原容疑者らが振り込め詐欺を行う上で欠かせなかった人物とみて、行方を追っている。

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 全国で相次ぐ振り込め詐欺による被害は、今年だけでも8月末までに約214億円に上る。昨年同期と比べて4割も多い。被害が増えた背景には、犯人グループの特定、検挙がなかなか進まないという実情がある。

 振り込め詐欺の被害届が出た場合、警察は着信履歴などから犯人が使用した電話番号を割り出す。これを元に大手電話会社に照会するが、偽造免許証で契約された携帯電話だったり、申込者の本人確認をしないで業者が貸し出したレンタル携帯電話だったりするため、実際に電話を使った人間が分からない場合が多い。

 そうした中で、携帯電話の不正利用を防ぐための環境整備が最近進んできた。免許証偽造防止のため、今年度末までに全国で免許証がICカード化され、12月からは携帯電話のレンタル時の本人確認が厳格化される。

 一方で、今回のようなIP電話悪用に対する規制は手付かずのままだ。捜査関係者によれば、詐欺グループは仲介業者から専用電話機を借り、業者名義のIP電話回線を使って通話していた。IP電話の取り扱い業者には本人確認などの法規制はなく、業者がIP電話を貸す行為自体は罪に問えない。

 また、業者のコンピューターとグループの電話機はインターネットでつながっていたが、「電気通信事業法上の通信の秘密があるため、通信履歴を残す必要はない」(総務省)といい、県警が被害者にかかってきた電話の分析から、発信者を突き止めるのは相当困難だったとみられる。

 親子の情や負債を抱えた人間の弱みにつけ込む振り込め詐欺は社会問題だ。卑劣な犯罪行為に対し、行政や関係企業はその対策への責任が問われる。これ以上の被害を出さないために、今回明らかになったIP電話の悪用に対しても何らかの手だてを講じてもらいたい。

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